<台の物>
「台の物」とは、新吉原などの遊郭で、見て楽しむ豪華な料理です。
足つきの朱塗りの大きな台の上にのせて運ばれました。
「青楼年中行事 夜具舗初之図」(十返舎一九著 喜多川歌麿画 台東区立図書館蔵)
台の物が数種類見えます。「花の台」「わっぱの台」「こわめし重」等です。
「青楼年中行事 良夜之図」(十返舎一九著 喜多川歌麿画 台東区立図書館蔵)
二階宴席での月見の様子が描かれています。月と日本堤が見えます。
「五大力恋緘」(豊国)
洲崎の料理茶屋「升屋」が描かれています。
丸い大きな朱塗りの台に料理が盛られています。鯛の姿焼きが見えます。
「やつしけんじ 雨夜のしな定」(豊国 都立図書館蔵)
朱塗りの台の上には使用済の箸が3膳ほど見えます。「台の物」の残り物のようです。
食事をすませた花魁は火鉢の傍らにいます。食事をしている遊女はかんざしが一本で位は低いようで、1人で食事をしています。
<台屋>
「台の物」を出前するのが仕出し料理屋で「台屋」です。
享保の頃に新吉原で台の物の仕出しを始めた「きの字屋喜右衛門」が繁盛し、
のちに遊郭の台の物仕出し屋全体の総称が「台屋」となりました。
配達人は「台の物」を載せた料理の台を頭にのせて台屋から遊女屋の階段を上って座敷へと運んでいました。
「当世十二時之内 未之刻」(歌川芳虎 都立図書館蔵)
画中には「稲本楼 小つな」とあります。
「台の物」の配達人が頭の上に「台の物」を載せて、遊女屋の階段を上がるところです。
「東京名所三十六戯撰 小塚原」(昇斎一景)
小塚原刑場で「晒し首」が載せられる台を、「台の物」に見立てて描写しています。
千住宿の南組(小塚原町など)の旅籠には多くの飯盛女が置かれていました。
左の女性は飯盛女と思われます。
「東京開化狂画名所 内藤新宿生酔の開店」(月岡芳年 明治14年 都立図書館蔵)
場所は内藤新宿です。台の物」を頭に載せて運ぶ配達人が見えます。
女性は飯盛旅籠「若松屋」の提灯を持っています。